2017年03月07日

あすなろ君,ストーカーと思われる?

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質問
 私はあすなろ君といいます。
 仕事の帰りに,駅を出ると,女の人が私の前を歩いていて,帰る方向が一緒でした。
 かなり長い時間,歩く方角が同じだったので,まるで,怪しい人が後をつけているように思われなかっただろうかと思うと,ものすごく気まずかったのですが,私は,この女の人から警察に通報されたりしますか?捕まりますか?

回答
1 ニュースでしばしば話題になっている,他人につきまとう行為については,@ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下,ストーカー規制法といいます)と,A地方自治体の迷惑防止条例などが,取り締まる規定を置いています。
2 ストーカー規制法による規制
  ストーカー規制法は,他人につきまとったり,待ち伏せしたり,相手の行動を監視していると思わせるような事を伝えたりすることを罰しています。
  しかし,ストーカー規制法においては,つきまといの目的が定められています。すなわち,恋愛感情であるとか,恋愛感情が満たされなかったことに対する怨みの感情を充たす目的がなければ,ストーカー規制法によって罰せられるつきまといには当たらないとされているのです。
  あすなろ君の行為は,これには該当しなさそうですね。
3 地方自治体の迷惑防止条例による規制
  当職の地元である福岡県の迷惑防止条例においても,つきまとったり,待ち伏せしたり,相手の行動を監視していると思わせるような事を伝えたりする行為を罰しています。
  ただし,福岡県迷惑防止条例においては,全てのつきまとい行為を罰するのではありません。身体・住居の平穏・名誉・行動の自由が損なわれると不安にさせるような方法により,反復して行うことを罰すると定めているのです。
  そうすると,たまたま帰り道が一緒だっただけのあすなろ君は,条例でも罰せられることはなさそうです。
4 結論
  とはいえ,不安のない日常生活を送るには,できるだけ誤解を生まないような行動を,お互いに心がけたいものですね。
以 上
posted by asunaro at 17:02 | 日記

2016年11月09日

あすなろ君,ワンクリック詐欺に遭う

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質問
私はあすなろ君といいます。先日,パソコンでインターネットを見ていたら,いやらしい動画が無料で視聴できるというページに入り,無料ならと思い,つい,視聴を希望するという画面をクリックしてしまいました。
すると,パソコンの画面いっぱいに,「登録完了しました,2日以内に入会金10万円を振り込んで下さい」と記載されている画面が出てきて,しかもこの画面が,消そうとしても全く消えないのです。
相手の連絡先に電話したら,「解約金20万円を振り込め」と言われました。
私は,どうしたらいいのでしょう。このパソコンは,職場のパソコンなので,ものすごく困っています。

回答
1 これは,「ワンクリック詐欺」などと言われて,世の中を騒がせているものですね。
2 ここで,あなたと相手方との間には,入会金を支払うという合意はなかったわけですから,相手の要求する入会金を支払う必要はありません。
そして,解約の対象となる合意もなかったわけですから、相手の要求する解約金を支払う必要もありません。
3 そもそも,相手に電話もしない方が良いです。電話番号などのこちらの個人情報を相手に教えてしまうことになり,不利になります。
相手は,あなたを訴える等と言ってくることがありますが,なかなかそのようなことにはなりません。郵便物が送られてきても,実際に裁判所から送られてくる特別送達の郵便物ではないことがほとんどです。
万が一,裁判所から支払督促と題する書面が特別送達により送られてきた場合には,お近くの弁護士に相談してみて下さい。
4 画面が消えないという点については,その画面が出る前の状態までシステムの復元を行う必要があるといわれています。その技術的な方法を当職が教示することはできませんが,可能ですので,お金を要求する相手方に頼んだりしないで下さい。
5 職場のパソコンであるということについては,・・・どうしましょうか?

以 上
posted by asunaro at 16:19 | 日記

2015年05月29日

あすなろ君,消滅時効を言えなくなる

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質問
 私はあすなろ君といいますが,10年くらい前に金融業者から借入をした債務の支払を,最近になって求められました。そのとき,「払います」と言ったのですが,良くなかったでしょうか?

回答
 あすなろ君は,10年くらい前に借りた債務の支払を求められました。
 普通の金融業者さんからの借入であれば,最後の取引から5年(住宅金融支援機構や信用金庫等からの借入であれば10年)以上経過していれば,債務の消滅時効を援用して,債務の履行を拒むことができます。
 ちなみに,時効期間経過後であっても,「消滅時効を援用する」という意思表示をしなければ,債務の履行を拒むことはできません。

 ここで,時効期間経過後,時効のことを知らずに,「払います」と表明したあすなろ君の場合,どうなるのでしょうか。「払います」と言ったのに,後になって時効のことを知って,「やっぱり時効を援用します,だから払いません」と言って,支払を拒んで良いのでしょうか?

 この点,最高裁判所大法廷昭和41年4月20日判決民集20−4−702は,「債務につき消滅時効が完成した後に,債務者が債務の承認をした以上,時効完成の事実を知らなかったときでも,以後その完成した消滅時効の援用をすることは許されないと解するのが信義則に照らして相当である」と判示しています。
 つまり,時効の完成後,一旦債務を認めてしまったら,相手が支払を期待するので,その期待を裏切って時効の援用をするのは信義に反するという訳です。

 あすなろ君は,訴えられてしまいました。時効期間完成後に「払います」と述べた証拠が法廷に出されたら、負けてしまうかもしれません・・・。
以上
posted by asunaro at 10:39 | 日記