2015年01月06日

あすなろ君,自己破産?

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質問
 私はあすなろ君といいますが,借金して遊びに興じ,莫大な負債を抱えてしまいました。
 自己破産などの方法で債務を処理できますか?

回答
 あすなろ君が,これからまじめに暮らすのであれば,債務処理の方法は,なくはありません。
 多重債務を抱えるようになってしまった方の債務整理の方法の一つに,自己破産があります(破産法)。
 自己破産の手続においては,裁判所は,2段階の判断をします。すなわち,@破産手続開始決定と,A免責許可決定です。
 @破産手続開始決定は,債務者が支払不能・支払停止などの状況にあるときになされ,この決定によって債務者は「破産者」と呼ばれます。しかし,この段階では,まだ,債務が免責(債務がなくなること)されていません。@破産手続開始決定後,債務者にA免責許可決定があって,初めて,債務がなくなるのです。
 A免責許可決定をするために,裁判所は,さらに2段階の判断をします。まず,(1)法定の免責不許可事由がないことが明らかであれば,免責許可の決定をすることとされています(破産法252条1項)。しかし,免責不許可事由があっても,(2)債務者が反省しているなど,免責を許可することが相当であると思われる時は,免責許可の決定をすることができるとされています(破産法252条2項)。
 あすなろ君の場合は,借金で遊興にふけったということですから,破産法252条1項4号の免責不許可事由があります。よって,よほどの反省と更生が必要でありましょう。
 なお,法定不許可事由のない手続として,個人再生手続があります(民事再生法)。個人再生手続においては,債務がなくなるわけではなく,@100万円以上,A負債額の5分の1以上,B自己の所有する積極財産の額以上,の金額を,3年ほどかけて支払わなければなりません。免責不許可事由が著しい場合は,こちらの方法も検討に値するでしょう。
                                以  上
posted by asunaro at 10:47 | 財産の問題

2014年02月10日

あすなろ君、頭を冷やそう(Cooling Off)

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質問
 訪問販売の人に、高額の羽毛布団を買わされてしまいました。
 セールストークに乗せられてつい契約書に署名押印してしまいましたが、後になって、必要なかった気がしてきました。また、そもそも毎月の支払をすることができないのではないか、心配です。
 どうしたら良いでしょうか。

回答
 訪問販売については、特定商取引法という法律が定めを置いています。
 漫画の例は、業者が自宅に羽毛布団を売りに来たのであれば、特定商取引法2条1項1号の訪問販売に該当することとなります。
 そして、このような訪問販売においては、申込者(買主)等が契約の内容を明らかにする書面を受け取ってから8日以内であれば、クーリングオフの権利を行使できます。クーリングオフとは、直訳すると「冷却期間」みたいなものですが、契約後、冷静になって考え直してみると不要な契約であった場合、無条件で「書面により」「申込の撤回」(特定商取引法9条1項)ができる権利です。
 訪問販売のクーリングオフの要件は、次のとおりです。
 1 特定商取引法2条1項が規定する訪問販売であること
 2 申込・契約の対象が権利の場合は指定権利であること
 3 申込書面・契約書面を受け取ってから8日以内であること
 4 適用除外(法が定める例外)に該当しないこと
 訪問販売に引っかかったときは、今すぐ、お近くの弁護士か、消費者センターに相談してみましょう。

※参照条文
 特定商取引法2条1項1号
 「販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)が営業所、代理店その他の主務省令で定める場所(以下「営業所等」という。)以外の場所において、売買契約の申込を受け、若しくは売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は役務を有償で提供する契約(以下「役務提供契約」という。)の申込を受け、若しくは役務提供契約を締結して行う役務の提供」
 特定商取引法2条1項2号
 「販売業者又は役務提供事業者が、営業所等において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した者(以下「特定顧客」という。)から売買契約の申込を受け、若しくは特定顧客と売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は特定顧客から役務提供契約の申込を受け、若しくは特定顧客と役務提供契約を締結して行う役務の提供」
posted by asunaro at 15:16 | 財産の問題

2013年11月25日

あすなろ君、更新料を請求される

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質問
 賃借している部屋の家賃を、毎月支払っています。
 それとは別に、契約期間が終わるたびに、毎回「更新料」として大家さんからお金を請求され、支払っております。
 ところが、賃貸借契約書をよくみると、更新料の支払いについては書いていないようです。
 更新料も、支払わなければならないものなのでしょうか?

回答
 賃貸借関係については、民法や借地借家法などの法律が規定しておりますが、更新料についての定めはありません。したがって、更新料は、当然に支払わなければならないものというわけではありません。
 ここで、賃貸借契約書に更新料の定めを置いている場合には、当事者同士で決めたこと、契約の内容として拘束力があるので、特段の事情のない限り、更新料の支払義務を免れない場合が多いでしょう。
 しかし、賃貸借契約書に更新料の定めがない場合には、賃借人には更新料支払いの義務はありません。よって、支払を拒否できます。
 この場合、「更新料を払わないと契約を更新しませんよ」と大家さんから言われてしまったとしても、契約に定めのない更新料の支払いを拒否することは、契約更新拒絶の正当事由にならないので、大家さんはあなたを追い出すことはできないことになります。
 ただし、契約の更新をするとき、あなたが「更新料を支払います」と口頭でも約束してしまったような場合は、更新料の支払いは有効となりますので、ご注意ください。
posted by asunaro at 16:59 | 財産の問題